契約書だけで紛争を一切無くすことは残念ながらできません。
それは、今後発展するであろう人工知能は別として、全ての紛争を事前に予測することは、難しいからです。
しかし、契約事項を契約書又は公正証書といった書面にすることにより典型的な紛争をあらかじめ抑止することは可能です。
また、非典型的な紛争であっても事前にリスクを詳細に検討していれば、紛争の機会を減少させることが可能なこともあります。
そうだとしても、紛争を予測して契約事項を書面に落とし込むのは、一定の法的素養が必要であり、高度な作業と言えます。
契約書の作成者は、民法等の基本法令のみならず、消費者契約法、下請法、商標法、著作権法等の関係法令にも精通する必要があり、かつ判例も把握しておかなければなりません。
これらの知識が無いまま契約書作成を行うと、契約書の効力が一部否定されたり、期待していた効果が発揮されない等の事態が生じ得ます。
その意味で契約書作成は、単純作業ではなく、高度な作業と言えます。
また、契約書作成という行為は、単にひな形を切り貼りして済む話ではありません。
例えば、ひな形を集めて契約書を作成したものの、一定の法的素養が無ければ、「本当に的確な契約書か否かの判断」は困難と言えるからです。
この意味でも、契約書作成という行為は、高度な作業と言えます。
自論に過ぎませんが、私はこれらの契約書の特徴から、的確な契約書を作成をするには行政書士自身に契約書作成に対する「強いこだわり」が必要と考えております。
ここでの「強いこだわり」とは、(1)限りなくリスクを網羅しておくこと、(2)条項の表現を曖昧不明確にしないことだと捉えております。
当事務所では、この2点に対して強いこだわりをもって契約書作成を行っています。
この2点を絶え間無く行うには、たくさんの専門書を読みこなし、かつ研修会にも参加する必要がありますが、これらの鍛錬が「私の一番の楽しみ」であり、毎日契約書作成に関する鍛錬を行っています。
契約書作成のことで困ったら行政書士事務所へ相談に行くのが一般的な光景になることを願って、日々契約書の作成を行っております。
2017年1月18日 記
特定行政書士 伊奈川 啓明